コンスピラシー戦略記事―――「策略」をめぐらせよう
2014年6月10日 TCG全般ご無沙汰しています、カルパチです。
前回のカバレージは好評を頂いてありがとうございました。
今回は6月6日に発売されたドラフトセット「コンスピラシー」の記事を
書かせていただきます。
今回の記事を書くにあたって、友人並びにばぶるすにて
一緒にドラフトしていただいた方には多大なる感謝を申し上げます。
■この環境について
・多人数戦であること
まず前提として多人数戦であるというのが他のドラフトとは大きく違う要素です。
単純に考えれば対戦相手が3人(=ライフ60点)になっているので、
1人で全員を倒そうとするのは非常に骨が折れることでしょう。
また、多人数戦特有の「ヘイト」も考えなければなりません。
簡単に説明すると、一人だけ有利な状況になったり他のプレイヤーに対して
多くの妨害をしているプレイヤーは周りに敵を作りやすいということです。
こうした行為は周りのプレイヤーの「ヘイト値を高める」結果になってしまい、
3人全員を敵に回してしまうと一瞬で袋叩きにあってしまいます。
なので、「できるだけ敵を作らないこと」というのが多人数戦のセオリーです。
「あの強いクリーチャー倒すからこっちを攻撃しないでくれ」
「あれ打ち消してくれたら殴らないよ」などといった政治的駆け引きをするためにも、
できるだけ対戦相手を敵に回さないようにゲームを進めていきましょう。
…というのはあくまで前提の話です。リソースが限られている通常の多人数戦では上記の
ような政治的駆け引きが行われやすいですが、この「コンスピラシー」では
非常に強力なデッキができて暴れまわるようなことも珍しくありません。
それが「策略カード」の存在なのです。
・策略カード
前置きが長くなってしまいましたが、この環境のキモとなる部分がこの策略カードです。
ゲーム開始時に効果を発揮しアドバンテージを得られるものや、
秘密裏にカード名を1つ指定し、そのカードが恩恵を得られるというもの。
これらはデッキとは別の統率者領域においた状態で開始され、任意のタイミングで公開することでいつでも恩恵を得られます。
使用枚数に制限はなく、取れた分をどれだけ使っても構いません。
コモンには
・指定したカード名のマナコストが1下がる《ブレイゴの好意》
・+1/+1カウンターが1個乗って出てくる《ムッツィオの準備》
・速攻をつける《即時行動》他
など地味なカードが多いですが、それが何枚も使えるとなると話は別です。
仮にこれら全て《トカゲ人間の戦士》を指定すると3マナ5/3速攻!
《スキジック》もびっくりのスペックです。
アンコモン以上になってくると豪快にアドバンテージをとるものも多く、
・ライブラリーから同名カードをサーチする《秘密の召喚》
・インスタントかソーサリーをコピーする《一石二鳥》
・おまけで1ドローがついてくる《反復分析》他
など、唱えるだけで簡単に有利をつけられます。
《走り回るトカゲ》を《秘密の召喚》して「戦隊のトカゲ」にしたり、《マナ噴出》を《一石二鳥》して大量のマナから《走り回るトカゲ》を多重キッカーする「トカゲバーン」戦略など、
さすがトカゲ…もとい、策略カードの強さがうかがえます。
より多くの恩恵にあずかれるよう、策略カードは積極的にピックしていくことを
おすすめします。またカード名を指定するものが多いので、策略カードを取ったら
同名カードを集めると何倍もの力を発揮できます。
続いてはこの環境の主な戦略(アーキタイプ)です。
■同名カード固め取り戦略
この環境は特殊セットであり、カードが全210種類と
昨今の大型セットに比べやや少なくなっています。
(例:「テーロス」基本土地以外229種類 「モダンマスターズ」229種類)
さらに通常のパックの基本土地枠である部分には「策略カード」か「ドラフト用のアーティファクトクリーチャー」が25種類存在するため、通常のカードは185種類しかありません。
通常コモン枠に限って言えば80種類だけです。そのため、8人ドラフトの場合は
コモン各種類約3枚前後のカードが出現することになります。
(公式記事http://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0010744/より)
先ほども述べたように、策略カードを主体としたドラフトでは
同名カードをかき集めることが大事です。
色やカードパワーよりも何よりも
「策略を早く取り、効果を生かすこと」
「流れてくるカードの種類と枚数」に気を使いましょう。
コスト軽減なら重めのカードを、クリーチャー強化なら軽めのカードを、といった具合です。とりあえず同名カードを集めておいて後で策略を取るということもできますが、
一周するのが期待できないことや、噛み合わない場合もあるので
先に策略を取ってしまうのがおすすめです。
安く取れるカードの指針ですが、別枠に存在するアーティファクト・クリーチャーたちや
除去が強いこともあってコモンのクリーチャーたち(多重キッカー持ちや土地サイクリング持ち)は結構流れてきやすいです。また防衛持ちも流れてきやすい上、《孔の歩哨》《覚醒石のガーゴイル》《戦争売りの戦車》といったサブプランも用意されているので狙ってみてもよいでしょう。
■カードパワー戦略
策略が取れなかった時に使う、いわば通常のデッキです。
通常のドラフトと変わりませんが、指針となる新キーワード能力を紹介しておきます。
・廃位
「このクリーチャーが最多あるいは最多と同点のライフを持つプレイヤーを攻撃するたび、これの上に+1/+1カウンターを1個置く。」という能力。青・黒・赤に割り当てられています。
ライフが一番多いプレイヤーを咎めるようなデザインであり、卓の均衡を保ちつつゲームが進んでいく(膠着しない)要素といえます。
戦闘が有利になりますし、他のプレイヤーとの交渉の種にもなるので、
攻めを重視したデッキなら沢山欲しいところです。
・議決
「各プレイヤー間で投票を行い、そのカードの挙動を選択する」という一風変わったデザインのカード群です。白・青・黒に割り当てられています。
これらを使う場合はなるべく「敵と呼べるプレイヤー」が少ない状態でプレイするのが
望ましいですね。敵が多いと望まない挙動に投票され、恩恵を得にくいこともあります。
使い方は難しいですが、割り当て色がやや防御的なカラーリングのため
自然と有利な状態でプレイできることが多いと思います。
・協議
「各プレイヤーのライブラリーの一番上を公開し、公開された土地でないカード1枚につきトークンやマナを出したりした後各プレイヤーはカードを1枚引く」という能力。白・緑に割り当てられています。
めくったカードが呪文の場合は相手にアドバンテージを与えてしまいますが、その分こち
らもより多く恩恵を得られます。効果がランダムなので安定はしにくいですが、ハマった時は相手に引かせたカード3枚分以上の働きをすることもあるので使っていて楽しいカード群です。最悪でも1ドローはできるので土地が事故っている時などにも便利です。
・機械たち
パックを開けた時、レアカードの後ろに入っているドラフト時に特殊な能力を発揮するアーティファクト・クリーチャーたちです。ピックする際に表向きで公開し、その後のドラフトやゲームを有利に進めてくれるような能力を持っています。
《歯車式司書》等、とりあえずピックしておいて後で使えるカードもあるので、ここぞというタイミングで強いカードを取ったり同名カードをカットしたりするのにも役立ちます。
■コンボ戦略
卓全体のカードが弱かったり、特定のレアカードが合わさったときにのみ組める戦略です。最初から狙うのはおすすめしませんが、ゲームを楽しみたい方はぜひチャレンジしてみて欲しいですね。策略カードや機械たちのバックアップもあるのでコンボパーツ自体は意外と集めやすいと感じました。
例
・《猟場番》+《狂気の祭壇》+フィニッシャー
・《ディミーアのドッペルゲンガ―》+《触れられざる者フェイジ》
・《鏡の大魔術師》+《占骨術》
等々…
この他にも色々あると思うので、新しい発見があったら是非ご報告を!
さて、ざっくりと戦略を紹介させていただきましたがまだまだ奥が深いこの環境。
普段トーナメントマジックに勤しんでいる人たちも、この機会に策略を巡らせてみてはいかがでしょうか?
剥いて嬉しい《もみ消し》《議会の採決》《ダク・フェイデン》もあり
ぜひ遊び倒したいところですね!
(ライター:カルパチ)
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