カードショップばぶるす・GPT台北カバレージ【ライター・カルパチ】
カードショップばぶるす・GPT台北

みなさんお久しぶりですカルパチです。先日ばぶるすにて行われたGPT台北のカバレージをお届けしたいと思います。今回は準々決勝・準決勝・決勝とメタゲーム分析の4本立てでお送りします。長文ですがどうかよろしくお願いします。


準々決勝
スエマツ(オルゾフコントロール)VSウメノ(黒単タッチ緑コントロール)

海外GPTということもあり、今回の参加者は若干少なめの29名。スイスラウンドを勝ち抜いてきた8名の中から、黒系コントロール同士のマッチアップをお届けしよう。


1戦目
先攻スエマツのマリガンからゲームスタート。序盤は激しいアクションがなくお互い占術土地や《骨読み》で手札を整えていく。この間に《変わり谷》が双方のライフをちくちく削る展開。
5ターン目、スエマツが《思考囲い》を浴びせると、ウメノの手札は《突然の衰微》3枚と《アスフォデルの灰色商人》、土地という何とも言えないもの。
ここから唯一の攻め手である《商人》を落とされ、ウメノは再び谷でライフを削っていくことに。

2ターン後ウメノはトップデッキした《生命散らしのゾンビ》でスエマツの手札を除くと、そこには《オレスコスの王、ブリマーズ》2枚、《払拭の光》、《究極の価格》《太陽の勇者エルズペス》、土地という豪華すぎる手札に悲鳴をあげる。
《ブリマーズ》1枚は落としたもののゾンビは《究極の価格》で破壊、返しで《エルズペス》が着地するとどんどんとトークンが量産されていく。

何とか《英雄の破滅》を探して時間を稼ぎたいウメノだったが、引いてくるのは役に立たない《冒涜の悪魔》と土地ばかり。ただでさえ寝っぱなしのデーモンが《払拭の光》で彼方へ飛び立つと、商人ドレインによる逆転すらなくなったウメノは土地を片づけた。


2戦目
先手で巻き返していきたいウメノだが、ダブルマリガンに見舞われてしまう。それでも5枚の手札には満足いったようで、《強迫》からゲームがスタートした。
スエマツの手札にはいくつかの除去とクリーチャーがいたが、ダブルマリガンを咎める手札破壊はなかったようだ。ひとまず《究極の価格》を落としておく。

手札が少なくてもウメノはアクションを怠らない。3ターン目《ゾンビ》でスエマツの《ヴィズコーパの血男爵》を追放、4ターン目アタック&《地下世界の人脈》と、常にリードを保っていく。
相手の初動である《冒涜の悪魔》も《英雄の破滅》し、スエマツが《骨読み》で費やした次のターンはゲームを決めるべく《強迫》を見舞った。

――が、ウメノは再び悲鳴をあげることとなる。2枚の《英雄の破滅》、《エルズペス》、そしてこれまでのダメージを無に帰する《ヴィズコーパの血男爵》。
このハンデスが《思考囲い》なら血男爵を落として攻めを継続できるのだが、クリーチャーを落とせないためウメノは長考する。最終的には《エルズペス》を選択、ゾンビと《変わり谷》でアタック、スエマツのライフを7としてターンを終えた。

返しで予定調和的に《血男爵》が出てきた後(《マナの合流点》を使ったためスエマツ残り6)、ウメノのドローは1ターン遅い《思考囲い》。歯がゆさを感じながらも相手の除去呪文を1枚落としておくことにしたが、黒い「プロテクション(黒)」を前には当然アタックできずターンを返す。
スエマツも返しにハンデスを見舞い除去を落としてから《血男爵》でアタックしてエンド。この時点でお互いライフは10である。

地下世界にライフを貢ぎながら毎ターン2ドローしているウメノだが、《アスフォデルの灰色商人》は中々ウメノのところに来てはくれない。ここまで頑張っていた《ゾンビ》も攻撃が通った後《英雄の破滅》され、お代わり《ゾンビ》を出すもスエマツの手札はすでにゼロ。一応ダメージレースを保ってはいるのだがあと数点のライフが中々届かない。
そんなウメノの現状を眼前にしながら、スエマツが引き込んだのは「黒いクリーチャー」である《罪の収集者》。ウメノの手札に脅威がないことがわかると、ここまで相手の《変わり谷》をにらんでいた自身の《谷》と共に《血男爵》でアタック。ウメノはこれを通しライフを3とする。

風前の灯となったウメノ、「ここで引けないと負けちゃうからね」と願いを込めてドロー、そして人脈を使ってもう1ドロー…

《商人》だ!
一気に6点ぶんライフをドレインし、ウメノ8対スエマツ4として終了。返しでスエマツも血男爵で殴り返し、ライフは4対8とまた逆転。シーソーのように揺れ動くライフを追いかけるのにこちらも忙しい。
戦闘後、スエマツはこれまでウメノにもたらしていた《人脈》を《払拭の光》で追放。これによりウメノにタイムリミットを突きつける。場にある《変わり谷》はウメノ1枚、スエマツ2枚。ブロッカーがいない以上2ターン以内に相手のライフを刈り取ってしまうしかない。

残り1ターン、ウメノは《商人》と《ゾンビ》でアタック。《ゾンビ》が《収集者》と相打ちしてスエマツ残り6。引いた《冒涜の悪魔》を召還してエンドするが、これでは《変わり谷》に寝かされてしまうため意味がない。スエマツの血男爵アタックには谷ブロック&最後の手札の《英雄の破滅》を谷に撃ちライフゲインを押しとどめる。
そしてラストターン、祈るようにドロー…《地下世界の人脈》。
さあ、もう1回。
ドロー…2人目の《商人》は。


ウメノのもとには訪れなかった。

ウメノ0-2スエマツ

準決勝

カワハラ(エスパーコントロール)VS タサキ(黒単タッチ緑コントロール)

準決勝は反対卓。2人とも福岡のチーム「まじ☆マジ」に所属している。カワハラはここ1か月ほどマジックを休止していたにも関わらず、しっかりここまで残っているのはさすがの実力である。タサキも普段はモダンに熱をあげているプレイヤーだが、愛してやまないゴルガリカラーの占術ランドとともに、その実力を如何なく発揮してきた。


1戦目
お互い「占術」でプランを立てた後、先手カワハラの《思考囲い》がタサキの《群れネズミ》を落としてゲーム開始。
タサキは《生命散らしのゾンビ》《冒涜の悪魔》と連打していくが、カワハラも《不在》《至高の評決》で的確に脅威をさばいていく。

そして7ターン目、カワハラが《太陽の勇者、エルズペス》によってトークンを生成。エルズペス本体は《英雄の破滅》で対処したタサキだが、逆にトークンによってライフを奪われていく羽目になる。
その後もトップから《思考を築く者、ジェイス》《スフィンクスの啓示》《エルズペス》とプレイし続けたカワハラの前にタサキは投了。

カワハラ1-0タサキ

サイドボーディングは比較的スムーズに終えた二人。ゲーム前は談笑していたが、開始してからはお互い集中しているのか会話がなく、こちらにも気迫が伝わってくる。


2戦目
カワハラがマリガン、タサキがダブルマリガン。
しかし、マリガンなど全く無かったかのようにタサキの動きは完璧だった。

3ターン目《地下世界の人脈》。
4ターン目《生命散らしのゾンビ》で《ヴィズコーパの血男爵》追放。
5ターン目《死者の神、エレボス》。
6ターン目《アスフォデルの灰色商人》。

この間ひたすら「占術」土地を置き続けたカワハラ、1枚の呪文も唱えることなく投了となってしまった。

カワハラ1-1タサキ


3戦目
今度はそれぞれマリガンもなくキープ。
お互いが《思考囲い》で相手の攻め手を抜いた後、カワハラが先に《ジェイス》でアドバンテージを獲得。
タサキは《冒涜の悪魔》《地下世界の人脈》《悪魔》2枚目と投げていくが除去や打消し呪文をくらってしまい、思うようにゲームを展開できない。
《英雄の破滅》しても《変わり谷》で倒しても次々と湧いてくる《ジェイス》《エルズペス》に防戦一方となってしまったタサキ。

このゲーム都合4枚目となる《ジェイス》の-能力によって、《スフィンクスの啓示》《霊異種》《太陽の勇者、エルズペス》と見せられてしまったタサキは、悔しさを噛みしめながらも静かに投了を宣言した。

カワハラ2-1タサキ

決勝

カワハラ(エスパーコントロール)VS スエマツ(オルゾフコントロール)

本ブログをちょくちょく見ていただいている方なら、スエマツの名前を何回か目にしたことがあるだろう。彼とその愛機オルゾフコントロールは現環境スタンダードにおいて非常に優秀な成績を残しており、今回も当然のように決勝まで駆け上がってきた。
仕事終わりに毎日のように大会に顔を出しており、マジックへの熱や勝利に対する気持ちは福岡でも1、2を争うプレイヤーだと言える。
2人ともGP台北に行けるかはまだわからないとのことだが、優勝の栄光を渡すわけにはいかない。本日最後のマッチアップをお届けする。


1戦目
スイスラウンドでも幾度となく行われた、1ターン目「占術」土地からゲームプランを練る二人。序盤はスエマツが手札破壊やクリーチャーで攻め、カワハラが打消しや除去で脅威をしのいでいくという展開。
だがカワハラに楽をさせないように、スエマツは除去の間隙を縫って《変わり谷》でライフを削っていく。
6ターン目、スムーズに土地が伸びたカワハラは《太陽の勇者、エルズペス》を繰り出しトークンを生成。返しでスエマツは《オレスコスの王、ブリマーズ》。エルズペスを対処できない。

だが、ここであきらめてしまうようなスエマツではなかった。次のカワハラのエンド時《胆汁病》は《解消》されるものの、《ブリマーズ》と《谷》2体でエルズペスにアタック。ダブルブロックされたところに手札で腐っていた除去を使い、攻めの姿勢を崩さない構え。
カワハラは《至高の評決》でゲームを決めにかかるが、スエマツは《骨読み》からの《払拭の光》でエルズペスを追放。ギリギリのところで主導権を渡さない。

再びスエマツの攻める番だ。《冒涜の悪魔》を通すと次のターンは《思考囲い》でカワハラに打消しを強要し、《谷》との攻撃を絡めて着実にカワハラのトークンを削っていく。
だがしかし残りライフ4まで追い詰めたところで悪魔は《不在》され、次のアタック後にはカワハラが《スフィンクスの啓示》X=4!
こちらもギリギリで押しとどまる。

窮地を脱したカワハラは《思考囲い》で《英雄の破滅》を落とすと、再び《エルズペス》。トークンを出すがこれは見えていた《胆汁病》によって除去される。
「もう終わりだろう。あとは占術で積み込んだ《解消》でどうにかなる。」
カワハラはそう考えていたはずだった。


返しでスエマツがトップデッキしたのは《太陽の勇者、エルズペス》!
先ほどまでこちらにいたはずの兵士トークンが相手の場にばらまかれる。
カワハラは再び思考する。残りライフは4しかないのだ。幸いこちらの方が1ターン早く奥義には辿りつく。手札の除去と打消しで相手の脅威をさばいてしまえば…
しばしの逡巡。ハンデスを打消し。トークンが相打ち。谷を除去。トークンが相打ち。谷を除去。
そしてカワハラは予定通り奥義にたどり着くことに成功した。飛び立ったトークンと《変わり谷》が、スエマツのエルズペスとライフをむしり取る。
スエマツにできることはなく、トークン3体によってカワハラのライフを1にするのみ。
そして今度こそもう終わり。カワハラは残り13のスエマツを3/3トークン3体と4/4の谷で削っておしまいだった。


…だが、この男はやはり持っていた。《英雄の破滅》。前のターンに「占術」で積み込んでいたとはいえ、本当にギリギリのタイミングで引いてくる勝負強さ。
カワハラは気づくこともできたはずだが、ここまで7ゲーム、長期戦を戦ってきた彼の思考は疲弊、しばしの休息が必要だったのだ。

果たしてカワハラの手札には打消しも全体除去も無く…《今わの際》で休息をとろうにも、強くなりすぎた兵士たちとカワハラに与えられるのは、破滅のみだった。

カワハラ0-1スエマツ


2戦目
疲弊したカワハラに与えられた再びの休息、トリプルマリガン。これまでプランを立ててきた占術土地もなく、ショックランドを置いてエンドするのみ。そして2枚で土地が詰まってしまう。
対するスエマツの歩みは着実だった。焦らず《思考囲い》《強迫》で手札を確認し、《変わり谷》でライフを削っていく。そしてカワハラに対処を不可能にさせた上で《冒涜の悪魔》。
最後まで土地を引けなかったカワハラにできることは、握手とチームメイトを称えることだけだった。
カワハラ0-2スエマツ


カードショップばぶるす・GPT台北優勝はスエマツタカアキ!



~カードショップばぶるす・GPT台北メタゲーム分析~

今回のGPTにおけるデッキ分布と考察をまとめたので、皆さんの参考になれば幸いです。


デッキ分布(()内はTOP8)
・緑多色ミッドレンジ(緑赤・緑赤黒・緑白黒・5色) 7(1)
・オルゾフコントロール 3(1)
・黒単タッチ緑コントロール 3(2)
・エスパー(青白)コントロール 4(1)
・黒(ラクドス)アグロ 3(1)
・ラクドスミッドレンジ 2
・青単ビートダウン 2(1)
・ボロスバーン 2
・白ウィニー系 2(1)
・緑白黒ビートダウン 1
――――――――――――――
計 29

今回のトップメタは先日プロツアーでも活躍した《森の女人像》+《クルフィックスの狩猟者》パッケージを利用した緑多色ミッドレンジでした。
相方の色は緑赤・緑黒赤・緑白黒などさまざまですが、どのデッキにもこの2種類は概ね4枚積まれており、その安定性と展開力補助を買われての採用率の高さといえます。
フィニッシャーの枠としては《嵐の息吹のドラゴン》《世界を食らうもの、ポルクラノス》《荒野の収穫者》《冒涜の悪魔》といったものがポピュラーでしたが、中には《彩色マンティコア》を選んだ人もいたようです。
残念ながらTOP8には緑白黒が1人進んだけであり、今回はブロック構築ほどのポテンシャルは発揮できずに終わりました。

逆に勝ち組だったのが6人中3人を輩出した黒系コントロールでした。「ニクスへの旅」で待望の黒緑土地である《疾病の神殿》を得てからはタッチ緑が登場し、《突然の衰微》という優秀な除去を入れることができるようなりました。
前環境から存在するオルゾフコントロールも《払拭の光》を得てメインボードからでも同系の《地下世界の人脈》や青単の《タッサの二股槍》に触れるようになり、より対応力を増した結果が今回の勝ちにつながったと言えるでしょう。

その他特筆すべき点としては、黒系アグロが登場したことです。
《節くれの傷皮持ち》《饗宴の主》といった低コストの割に高パワーのクリーチャーの追加によりより高速で相手のライフを詰めにいくことができるようになりました。特に《饗宴の主》は緑ミッドレンジ系に対して強く、相手のプレインズウォーカーを一撃で沈めている姿もよく見受けられました。
もともと速攻クリーチャーが多いこともあり、エスパーのソーサリータイミングの除去の返しに《とげの道化》、《ラクドスの血魔女、イクサヴァ》、残った授与クリーチャーが殴りにかかれるのも大きなメリットです。

逆に青単やバーンといった、「ニクスへの旅」で得るものが少なかったデッキは少なくなっています。元々強いデッキなのでメタゲームが進んでも存在はし続けるはずですが、今回は環境初期ということもあり数を減らしていたようです。《惑乱のセイレーン》《予言の炎語り》といったカードが入ったレシピも早く見てみたいですね!


さて、次回のスタンダードは今週末(24(土)・25(日))に行われるゲームデーです。GPTよりはカジュアル寄りなイベントなので、より奇抜な皆さんのデッキを期待したいですね。
それでは長文ありがとうございました。これからもカードショップばぶるすをよろしくお願いします!


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